
宝石編みの紹介
宝石のカットを描くように編む『宝石編み』
貴和クリスタルのフォルムに寄り添う美しいビーズのライン。まるで宝石のカットを描くように貴和クリスタルを編み包むこのビーズのラインを「宝石編み」と名づけました。 ビーズの専門メーカーTOHOビーズのシードビーズと竹ビーズを巧みに組み合わせ、貴和クリスタルの輝きを最大限に引き出すために考案した編み方です。

宝石編みが生まれるまで
宝石編みの特集はご覧いただけましたか?さっそく素敵なアクセサリーにしてくださった方もいらっしゃるので嬉しい限りです。
宝石編みはクリスタルの形も、シードビーズも竹ビーズも、ずっとずっと昔からあった素材を使っています。
テグス編みの技法も新しいものではありません。
既存のパーツと技法の中で、クリスタルの輝きと構造の美しさを両立させ、理想の手作りアクセサリーを作れないか?そんな探究心の延長線上から宝石編みは生まれました。
今回は、そんな宝石編みが生まれるまでの試行錯誤の裏側と小さなこだわり、制作中のこぼれ話など少しだけご紹介したいと思います。どうぞ最後までお付き合いください。
きっかけは"大きいクリスタル"

大きいクリスタルは軽量化のために厚みを抑える分、どうしてもそのほかの#4000番台よりも輝きが浅い印象になってしまいます。さらにラッカーシリーズのようにフォイルによる光の反射がないカラーは、輝きより”面”の色が強く出ます。
そのためイヤーアクセサリーやリングに仕立てて身に着けるのには少し物足りなさを感じる。そんな違和感がずっと頭の片隅にありました。
「何か工夫すればきっと素敵なアクセサリーにできるはず..」
そのモヤモヤが最初のスタートラインになりました。
2つのレシピからのひらめき
宝石編みのアイデアは実は2つのレシピをデザインした時のひらめきから生まれました。
1つ目のレシピ:#4487のブローチ
2026年春夏の新型として発表された、#4487を使用したビーズ編みブローチのデザインを担当していたときのこと。
久しぶりに発表されたの大きめクリスタル、どんなデザインにしようかと考えていくうちに「テグス編み」「シードビーズ」この2つのキーワードを軸に構想を練り始めました。

ビーズで編み包むテクニックといえば、クリスタルの縁に沿って繊細なビーズで編み囲むフレーミングがまず思い浮かびます。定番のテクニックですが、難易度が高く挑戦しづらいと感じる方も多い技法です。
そこで、もっとシンプルなテクニックで、でも見映えのするデザインを目指した結果、竹ビーズで線を描くように編むという方法に行きつきました。

竹ビーズが描くラインが、クリスタルの新しい表情を引き出してくれた瞬間でした。このレシピが、のちに「宝石編み」の原型になりました。
2つ目のレシピ:#4327のビッグドロップイヤーアクセサリー
同シーズンに登場したエレクトリックイグナイトシリーズの新色。今度は#4327(ドロップ)を使ったイヤーアクセサリーを考えている中で「2Dっぽいデザインにしたら、エレクトリックカラーが映えそう!」 そんな発想からスタートしました。

2Dっぽさをどう表現するか、クリスタルの表面にシードビーズと竹ビーズでカットのラインを描いたらどうかと実際に編んでいくうち、生まれたのが#4327のビッグドロップイヤーアクセサリーです。
このレシピをきっかけに宝石のカットをビーズで描くという発想が定まり、編み目の間からクリスタルを覗かせるというスタイルが確立しました。
続いて、#4127(オーバル)と#4627(レクタングル)のデザインにも本格的に取りかかることにしました。
形ごとの試行錯誤
#4127(オーバル)
オーバルは比較的バランスがとりやすく、テーブルの膨らみに合わせてドーム状になるよう、輪郭に沿って台形が並ぶ宝石のカットをイメージして作り始めました。
クリスタルの表面を隠しすぎず、かつ浅くなりすぎないように、内側と外側の輪の距離が一定になるようバランスを調整しながらビーズを配置していくのが楽しい工程でした。

#4627(レクタングル)
一方でレクタングルの方は、まさかの大苦戦。
8か所の角をピタッとクリスタルに沿わせるのが本当に大変で、最初はふかふかの布団のような形になってしまったり、引き締めると中のクリスタルがずれたり...の繰り返しでした。

パビリオン(裏の尖った部分)が他の2つの形より浅いため、裏面を編んで最後に引き締めるまでぴったり決まるか分からず調整にかなり時間をかけました。
ビーズを通す順や組み合わせを変え、何度も編み直してようやくレクタングルらしいシャープな形に仕上げることができました。
仕上げと拡張性へのこだわり
どんなアクセサリーにもできる構造
形が決まったあとは、アクセサリーとして展開を広げるための仕上げと処理、編み図を考えていきます。
どんなアクセサリーにも展開できるように、以下の構造を盛り込んでいきました。
・カンをつけて金具を通せるようにする
・モチーフ同士を縦横に接続できるようにする
・裏面にリングのアームやヘアゴムを付けられるようにする


それからビーズ編みで避けられないのがビーズの個体差とテグスの引き締め具合。両方のバランスで仕上がりが微妙に変わるため、最後にテグスを結んだときにぴったりと収まるように設計段階で微調整を重ねました。
さらに編み図を描き起こす際も、形によって編み方が変わらないよう、どの形も同じ手順で編めるようにと考えました。また、テグスにかかる力が集中しないよう、全体に分散する構造にするなど、細部までこだわった構造になっています。

美しく仕上げるために
先ほどビーズには個体差があると書きましたが、特にシードビーズは潰れたものや丸々としたものが混ざっている場合があります。
そういったビーズは避けて、なるべくビーズの形を揃えて作るようにしましょう。竹ビーズも角が欠けているものや、長さが揃っていないものは省くと綺麗に整った仕上がりになります。
せっかく作るのですから惜しまずに、選りすぐりのビーズで美しく仕上げてみてください。
スタッフアレンジ
宝石編みの公開に先駆け、スタッフが思い思いの組み合わせで作った宝石編みをご紹介します。色合わせやアイデアソースとして参考にしてみてくださいね!
フォイルなしのクリスタルをクリアなビーズで包んで、オールクリアなリングに!
〈使用パーツ オーバル〉
#4127 クリスタルムーンライト/V
TOHOビーズ No.161
〈使用パーツ レクタングル〉
#4627 クリスタルダイヤモンドタッチライト2×/unf
TOHOビーズ No.161
お気に入りのエレクトリックカラー×ブラックのカラーリングで。推し活にも使えそう!
〈使用パーツ〉
#4627 クリスタルエレクトリックピンクイグナイト
TOHOビーズ No.49
マルーンでクラシックな雰囲気のペンダントに。
〈使用パーツ〉
#4127 クリスタルマルーンイグナイト
TOHOビーズ No.221
ブレスレットとお揃いカラーでリングを作りました。
〈使用パーツ〉
#4627 クリスタルパインイグナイト
TOHOビーズ No.221
Lt.コロラドトパーズに暗めのシルバーカラーを合わせて落ち着いた雰囲気のカラーリング。
〈使用パーツ〉
#4627 Lt.コロラドトパーズ/F
TOHOビーズ No.29
最後に

新しいクリスタルや珍しいクリスタルが出るとつい手に取ってしまう。実は私自身も、「石座に留めるだけじゃもったいない」「石座に留めるときうっかり傷つけたらどうしよう...」と思いながら、いつか素敵にしてあげるからね..と集めてきたコレクションが引き出しに眠っています。
きっと同じように、大切なクリスタルをそっと仕舞い込んでる方もいるんじゃないかなと思っています。
また、SNS等を通じて宝石編みを知り、作ってみたいと思った方もいらっしゃると思います。
宝石編みは基本的な交差編みのテクニックで作れます。工具も使いません。
貴和クリスタルが好きな方、ビーズ編みが好きな方、どちらの方にもワクワクしてもらえるようなレシピになっています。
大きいクリスタルは色も豊富に展開していますし、今後も新色が登場します。TOHOビーズとの組み合わせで無限の可能性が広がります。ぜひ一度、手に取って、編んでみてください。
そしてぜひ「#宝石編み」や「#貴和製作所」をタグ付けして私たちに作品を見せていただけたらとても嬉しいです!


